好きって言ったら、どうする?
▼要side▼








「………要くん…。」

「…行きな、北澤。
…きっとお兄さんも、君を待ってる。」









俺は目の前にいる彼女に
酷く優しい声でそう告げて


彼女があの人のもとに行くように促した。







……自分でも格好悪いとは思ってる。





本当は行かせたくないし、
このまま彼女を…引き止めたい。








……でも









(…でもそれじゃ…ダメなんだ。)









北澤を本当に幸せにするためには

俺じゃ、ダメなんだ。






彼女には───俺じゃなくて、彼だから。







北澤を本当に幸せにできるのは

他の誰でもない
彼にしか───できないことを




俺は……知っていたんだ。









「っ………ごめん……
…ありがとう、要くん……っ。」

「…うん。…またね、北澤。」









そう言って



北澤は迷うようにして
こちらへ視線を揺らしながらも




俺の言う通りに───こちらへ背を向ける。








(………あぁ…)









…行ってしまう、彼女が。









少しずつ小さくなっていく彼女の背中を

その場に立ち尽くしながら
黙って見つめて






そしてやがて見えなくなったその姿に


俺は静かに…目を閉じた。









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