好きって言ったら、どうする?
「………っ…!」
「!!」
視線が重なってすぐ────
姿を捉えた俺から逃げるように
あいつは体を引き返させて
人混みの奥へ消えていく。
俺はそれに気づいて
急いで人混みの中へ入った。
「っ……柑奈…!!」
あいつの名前を、必死に呼ぶ。
けれどあいつは返事をすることも
立ち止まることもせずに
人混みの中に消えて
俺の前から再び姿を消した。
(…っ……あいつ……!)
姿を消した柑奈の姿を
必死に辺りを見渡して探す。
───あいつは確かに、来たんだ。
俺のところに…ちゃんと、来たんだ。
(今度は絶対、見逃したりしない……っ!)
今度は俺があいつを見つけて
それで、今度こそ──────。
俺はそう思いながら
商店街を抜けて
いなくなったあいつを探した。
(今日はまだ…3時間ある……。)
まだ俺は───あいつに───
(あいつに……会える……っ。)
──────まだ希望は 残ってるんだ。
▲勇side END▲