好きって言ったら、どうする?
しかし、彼を見た瞬時
この人も
この男子達とは別の、
同じ部類の怖い人かと思って
思わず…身を固まらせた。
…でも
静かにこちらに近づいてきた彼の
男子達をじっと睨むその目を見た時
そんな考えは、すぐに吹き飛ぶ。
「人の彼女に手出してんじゃねェよ。」
───"人の彼女"
目の前までやってきた彼は
私を助けるための嘘をついて
男子達を真っ直ぐに 薄く睨む。
彼は
黒いTシャツに
白いエプロンを腰に巻いていて、
短い黒髪が印象的なお兄さんだった。
彼は
男子達に怖気付く様子もなく
どこか余裕のある態度で見据えている。
「はぁ?彼女?
知らねェよそんなん、すっこんでろ!」
そんな彼の態度に
私の肩に手を回す男が
気にくわないというような声色で
彼に噛み付く。
「そもそもなぁ、テメェの女なら
ちゃんと管理しとけっつんだよ!」
「勝手に拉致ろうとしてる奴に言われたかねェよ。」
「テメェ…なめてんのか?あ?」
不良の男がそう言って
イラついたような声を出すと
お兄さんは薄く笑みを浮かべながら
その男子に 1歩近づく。
「……何だよ、やんのか?」
そして
お兄さんは男の前までやってくると
落ち着いた低い声で
不良の男へ静かに---そう尋ねた。
──その笑みに 私は少しゾッとする。
彼のそう言った姿を見上げただけなのに
この人の方が彼らより強いと
私にも───わかったからだ。