好きって言ったら、どうする?
「っ……!」
私の言葉を聞いて
勇さんはいつかの私と同じように
大きく目を見開きながら 驚きに固まって
じっと───真っ直ぐに 私を見つめた。
……勇さんに、愛理さんがいるのは知ってる。
でももう───
(気持ちが、抑えられないの───っ。)
そう思ったら
私はまた涙が止まらなくなって
涙でぼやける視界の先の
目の前の彼を───ただ黙って見つめていた。
───ごめんなさい、困らせてる。
答えはもう決まっているのに
止められなくて…ごめんなさい。
「……んなの……答えなんて、とっくに決まってる。」
「…っ……。」
「…………はぁ……。」
そう思っていると
不意に勇さんがため息のような息を吐いて
その白い息がお互いの視界を霞ませて
そして静かに───強く、抱きしめられた。
私はそんな彼の行動に
驚いて 目を見開く。
「……何言ってんの、お前。」
「っ……ゆ…勇、さ……。」
「何で俺より先に言ってんだよ。」
(っ──────え?)
勇さんはそう言うと
私の肩口に再び額を乗せて 小さく息を吐いた。
────今、何て言った?
今……今………
「…言っとくけど、お前より俺の方がずっと好きだから…お前のこと。」
「っ……。」
「…ったく………俺から言うつもりだったのに…。」
何先に言ってくれちゃってんの、と
照れながらも少し拗ねている勇さんの顔が
私の目の前に現れて
そして真っ直ぐに見つめられる視線に
私は息ができないくらいに───
心臓を激しく鳴らしていた。