好きって言ったら、どうする？

「…どうすんだよ。」








お兄さんは

薄い笑みを浮かべたままそう言って、
目の前の男を問い詰める。








そんな彼の態度に


男は彼を睨みつけながらも、
悔しそうに唇を噛んだ。









「っ……チッ、行くぞ。」











そして


彼はお兄さんに言われるままに、
私の側から 大人しく離れる。








そして舌打ちをしながら

仲間を連れて、その場から去っていった。









(…た…助かった……っ。)










それを確認すると


私は力が抜けたように
その場にしゃがみ込んで


そして静かに 息を吐いた。







そして


男達がいなくなったのを確認した
恩人のお兄さんは




静かにこちらに歩いてきて

座り込む私を、じっと見下ろす。









そして無表情のまま

私に尋ねた。











「…怪我は？」

「…あ…だ、大丈夫です。」

「そう。」










お兄さんは

側に落ちていた私の鞄を拾い上げて、
軽く叩き汚れを落とすと



「ん。」と言って

それを優しく 私に渡す。







そしてその時に





私は初めて 彼と目を合わせた。









(───っ。)









そして目が合った瞬間



なぜか私は

その時反射的に───息を飲んだ。