好きって言ったら、どうする?
───ドキッ、と
心臓が 不意に大きく高鳴る。
「……お前さ。」
「え?」
そんな私へ
不意に お兄さんが口を開いた。
「……何でこんな時間に、
1人でこんなとこいんの?」
そして彼から
ふと そんな質問を投げかけられる。
(っ………。)
私はそれを聞いて 思わず目を背けた。
しかし
彼はそれを聞くまで
私の前から立ち去るつもりはないらしく
黙ったまま
私の返事を静かに待つ。
(………理由は…。)
理由は───ただの家出。
だけど何だか
そう言うのは少し恥ずかしくて
私は 口籠ってしまう。
───すると
その様子を見て
彼は察したように 口を開いた。
「……家出か?」
「っ……。」
「…制服のまんま出て行くなんて
かなり無用心だな。」
私がここにいる理由に気がつくと、
彼は淡々とそう言って
だけど特に
私へ笑ったり怒ったりするわけでもなく
そのまま 言葉を続ける。
「ここでこのまま夜明かす気か?」
「…っ…そ、れは……。」
「…だとしたら、また同じ目に合うぞ。」
次は、俺みたいなのが来るか分かんねぇよ?
脅しているわけでもなく
ただ事実を告げる彼は
こちらを見下ろしながら
オロオロする私の様子を静かに眺めていた。