好きって言ったら、どうする?
「おう。
……つか勇、お前今日どっか遊びに行ってたのか?」
「……まぁ。」
「いつもより気合い入ってるからそうだろうと思ったぜ!誰だ、彼女か?」
すると急に店長がそう言い始め
からかうような口ぶりで
俺にそう尋ねてくる。
店長は何やら楽しそうな展開を
期待している様子だが
俺はその言葉を聞いて
思わず───少し焦った。
……彼女じゃねェけど、
相手は店長の知ってる柑奈だ。
言ったら
次柑奈がきた時に
何を聞くか分からない。
…まぁ
普通に柑奈と『遊んできた』って言えば良い話なんだろうけど
『気合い入ってる』なんて言われると
何だかそうとは言えず───。
「いや、違いますよ。
…つか 俺彼女いないっすから。」
ただ、そうとだけ答える。
それを聞いて店長は
「んだよ違ぇのかよ!」と言いながら笑った。
(………思えば最近、
そういうことも特に何もねェな。)
俺は店長と話しながら
ふとそんなことを考える。
前はそれなりに
普通に恋愛に興味があったが
最近は 特に
大学の友達から誘われる合コンとか
そういった類いのものは 一切求めてない。
(……アイツに構ってるからか。)
柑奈に構ってるから───彼女が欲しいとかいうことも考えてねェんだな、と
俺は黙ってそう考える。
何となくその答えに
俺は納得していた。