珠利と真実―約束の恋の音色―
香港から
そして6月も終わりのとき。

その日はピアノ教室を終えてから、珠利は涼夏の父親・善と会うことになっている。


真実は友人の演奏会のため新宿のコマ劇場までやってきた。

帰りに歌舞伎町歩いていたら、見たことある姿を見た。

涼夏の友人・誠也だった!

「大平さん!」

真実は声をかける。

「あれ、真実くん」

誠也はチラシ片手に驚いた驚く。

真実は小走りで誠也に近づいた。

そして、誠也の身なりを見て、

「こんな時間から仕事ですか?」

「時間外だけど、客引きだよ」

チラシを見せて言う。

「大変ですね」

「頑張って、金持ちの客つかまないとな」

笑いながら誠也は言った。

そして今日、珠利が涼夏の父親と会うことを話した。

誠也も涼夏が今、家族と仲たがいしてるのを知っている。

「親なんてうっとうしいけど実はありがたいものなのに、理解しあうというのが難しいのかな」

誠也は言う。

「たとえ血はつながった家族でもわかり合うことは難しいんですよ」

真実の答えだった。

しばらく話してから、

「それじゃあ、ここで。キャッチ頑張ってください」

「真実くんもいい職場見つかるといいね。そのときはピアノを聞かせてほしいな」

誠也は励ました。


夜になり、珠利はピアノ教室を終えて、待ち合わせ場所に向かった。

ホテルのティーラウンジで待ち合わせすることになっていた。

そして珠利が到着したとき、善がすでに来ていた。

そして、もう一人男の子が来ていた。

「こんばんは、お久しぶりです。すずちゃんのお父さん」

「こんばんは」

善は挨拶する。

昨日、出張先の香港から日本にやって来た。

「こんばんは、珠利さん」

「今日は望くんも一緒なんだ」

珠利は少し驚く。
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