珠利と真実―約束の恋の音色―
「美容院でしてもらったんだ。ちなみにウチのプロデューサー・ハナミチさんが経営している『モージャ』というお店だ」

にこやかに香紀は説明した。

腰を抜かしている真実を見ながら、

「だけど、人を見る目は誰よりも優れている。だから、そうゆう意味では面接に必要なんだ」

ハナミチは話した。

ひとまず、客もいないということで、真実にピアノを演奏してもらうことにした。

そして、ホールいたホストたちが、あまりにも心を癒やす音色に息をのんだ。

ハナミチたちも驚いた。

しばらくして、演奏が終わり、ハナミチは

「すごいよ。とても良かった」

そして、ハナミチや内勤たちが話し合った結果、真実をピアニストとして採用することにした。

そして、来週から出勤することになった。


真実は新しい職場が見つかり、大喜びで珠利に報告したが、珠利はテンションが下がる思いだった。

「だって、お金がないと珠利とデート出来ないよ」

なんて言うと、

「いいもん。真実にお金が無かったら、私がデート代出すから」

「何言ってんだよ!!珠利にデート代は出させないから!」

真実は興奮した。

そして次の週。7月の暑さ真っ盛りのとき。

いよいよ、出勤日が来た。

『ラブストーリー』に入って、ミーティングまで時間があったから、ホールのソファーでくつろいでいた。

すると、内勤の香紀と永瀬が来た。

「あのさ、名前まだ決めてなかっただろ。何か使いたい名前とかある?」
永瀬が聞いた。

「プレイヤー(ホスト)じゃないのに、源氏名つけるのですか!?」

「そうなんだ」

永瀬がさらりと言う。

「どうしようかな」

真実はどうしよか悩んでいた。

「そしたら、ミコトなんてどうだ?」

香紀が言った。

「えっ?」

真実は不思議がる。

「本名はまことだから、ま行で“ま”の次は“み”だろ。だから、ミコト。そうだ!字は命と書いてミコトだ」

「命(ミコト)ですか…」

なんか、不思議な気分だった。

「それじゃあ、今日から、おまえは命だ!」

永瀬は肩を叩いた。
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