珠利と真実―約束の恋の音色―
しばらくして、TSUTAYAを後にした。

「真実、私ピアノ教室に忘れ物取りに行きたいから、先に新宿行っててほしいんだけど」

「わかったよ」

二人は後で合流することにして、珠利はピアノ教室に向かった。


真実は一人で歌舞伎町をブラブラしていた。

しばらくして、待ち合わせに向かった。

到着して珠利を待っていたら、

「命!!」

ハイテンションで後ろから抱きつかれた。

驚いて振り返ると

「サユさん!?」

何と!サユという客が抱きついて来た。

そして連れもいた。

「こんなところで何しているの?」

まだ、真実にしがみついている。

「待ち合わせです。それよりも誰かに見られたらどうするのですか。俺、マサトに怒られますよ」

困りながら、サユに離れてもらうようにうながした。

サユはマサトというホストを指名している。

そして、この後とんでもないことが待ち受けていた!!


「真実!!(怒)」

珠利が物凄い形相で現れた。

「珠利、これは」

焦りながら、話そうとする。

サユたちグループはいかにもキャバ嬢といった風貌だった。

サユの連れのみさおは

「誰〜?この人」

珠利をジッと見る。

つけまつげにケバいメイクがますますヤンキーを思わせる。

空気が凍りついてきたが、サユたちはお構いなしの顔する。

「珠利、誤解しないでくれ、ただのお客さんだから…」

真実はあせりながら、優しくサユから離れようとする。

「何よ、この女、ミコを自分のモノみたいに。それにたいしたことない」

はりきってメイクしてもケバいだけのサユたちなしてみれば、そんなに着飾らなくても美人な珠利が妬ましいようだ。

珠利はサユやみさおたちの嫉妬のまなざしをスルーして、

「私、彼と付き合っているんです!」

皮肉っぽく言い、強気に出る。

「だけどぉ、ミコは私たちのミコでもあるんだよ」

みさおは真実がホストクラブに勤めていることを主張した。
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