成すべきことは私が一番よく知っている
 
「先輩、今日もかっこいい~!」

「あの人って……」

「二年生の守屋拓海先輩! スポーツ万能で、サッカー部の次期部長なんだって~!」

 守屋拓海。高校二年生。細い目つきの整った顔立ちに、ワックスを塗りたくってツンツンになった茶髪に雫したたるその立ち振る舞いは、確かに様になっていた。

「守屋先輩~!」

 言うが否や、朱里は息を切らしながらエールを送っているファンと思わしき女の子たちの輪に突入し、一緒なって騒ぎ始めた。

「………………」

 次期部長で、スポーツ万能。聞くところによると勉学の成績もよく、同性からの信頼も厚いらしい。そんな絵に描いたような優秀な彼を、清美は女として意識したことはないと言えばもちろん嘘になる。

(だけど……なんで私なの?)

 清美は、つい先日のことを思い出していた。





 
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