人狼ゲーム
《貴方たちには、【人狼ゲーム】に参加して頂きます。》
いきなり部屋に監禁され、羊のかぶり物を被った謎の人物にそう告げられる俺達15人。
《詳しい説明は今から行ないますので、まずは一人一台用意したパソコン前の椅子にお座り下さい。》
俺達は渋々、それぞれパソコン前に座った。
《では、まず【人狼ゲーム】について簡単に説明致します。【人狼ゲーム】とは、村人と村人に化けた人狼に別れて互いに狩り合うゲームです。
これから毎日、貴方たちには人狼が誰であるかを話し合って考察して頂き、処刑する人物を誰か1人、決めて頂きます。
狼はその夜に喰い殺す村人を決めて頂きます。
村人は人狼を全員処刑すると勝利です。
村人の生き残っている数が生き残っている人狼と同数になれば、人狼側の勝利となります。》
「なんで、私達がそんなこと.....」
プライドの高い郁美がそう呟く。
液晶画面上の羊は、喋り続ける。
《貴方たちを1人1000万円と言う金額で、私どもが孤児院から買収させて頂きました。
【人狼ゲーム】で生き残った者にはそれ相応の金額と、此処から脱出できるという権利を差し上げます。》
「買収ってことは....」
俺がポツリと呟くと、その言葉に反応した鈴木が声を荒げる。
「やっぱりな!!あのババァ(院長)、グルだったんだ!!金欲しさに、俺達をこんな訳の分からない所に売りやがったんだ!」
皆の顔に、絶望の色が滲んでいた。
それもそうだ。
俺達は、母の様に慕っていた存在から、裏切られたも同然の仕打ちを今受けているのだから。
「いや.....こんな所から早く出してよぅ....。」
レースがついたメルヘンチックな私服を着た巨乳女子、茨木 メロが手で顔を覆っていた。
羊は《皆様、お静かに。》と人差し指を口元に当てる。
《直、ゲームに参加する意志の無い者、策略や役職関係無しに他者の正体をばらそうとする者、暴力行為に及ぼうとする者は、こうなります。》
羊が少し身体を動かすと、画面の向こう側には机の上に置かれている羊のぬいぐるみがあった。
次の瞬間、ボンッという音と同時にぬいぐるみの頭が吹き飛び、ぬいぐるみの中から赤色に染まった液体と綿が、辺りに飛び散る。
「ひっ!!」
「きゃあっ」
室内に、女子の短い悲鳴が木霊した。
《ゲームを開始すれば吹き飛ぶのはぬいぐるみではなく、”違反を犯した者の頭”になります。
お分かり頂けましたか?
貴方たちに、拒否権など存在しません。》
静かになった俺達を見て、羊はクスリと笑う。
《それでは次に、生き残る為に重要になってくる"役職"について説明致します。》