極上な御曹司にとろ甘に愛されています
1、憧れの彼とお近づきになりました
「そ……総務部から異動になりました相田萌です。どうぞ……よろしくお願いします」

朝の朝礼で異動先の海外事業部グローバル推進課の面々の前でそう挨拶すると、私は深々と頭を下げた。

年度の始まりの四月一日。

天気は快晴で外では桜が満開なのに、私の気分は過去にないくらいブルーだった。

声が震えてしまった。恥ずかしい〜!

こんなに緊張しててこれから上手くやっていけるのだろうか。

昨日は不安であまり良く眠れなかった。

私……相田萌は創業明治三年という長い歴史を持つ水無瀬製薬のOLで二十五歳、独身。

身長は百五十五センチと低め、ボブカットのストレートの黒髪に真ん丸の目。

小さい頃から変わらぬ私の髪型に、うちの三歳下の弟はよく『座敷わらし』と言って私をからかう。

普通の容姿なのに、面食いのせいで今まで恋人がいたことがない。

遠くから好きな人を眺めて楽しんでは、ひっそりと静かに終わる自己完結型の恋を繰り返しているのだ。
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