極上な御曹司にとろ甘に愛されています
「相田さん、これみんなで食べて一息つこうか」

デスクの下に置いておいた紙袋を手に持ち、萌に差し出す。

これはさっきランチを食べた店で売っていたわらび餅。

真木さんが会計をしてる時に『ここのわらび餅、おみやに人気なんだ』という話をしていて、店員に頼んで帰りにこっそり購入しておいたのだ。

「これって……さっきの店で?」

「そう。田中が可哀想かと思って買っておいたんだ」

本当は萌のために買ったのだが、あえて言わない。

田中のためと言えば、彼女の負担にならないと思った。

「ありがとうございます。じゃあ、早速みんなに配りますね」

「うん、頼むよ。俺も手伝おうか?」

「大丈夫です。仕事続けてて下さい」

しばらくすると、トレーにわらび餅と緑茶を乗せて萌が現れた。

彼女は課のみんなに「高橋さんからの差し入れです」と言ってわらび餅とお茶を配り、田中には「田中君、目が死んでるよ」と柔らかな笑みを振り撒く。

そんな様子を見ていると、田中に殺意を覚えた。
< 131 / 318 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop