極上な御曹司にとろ甘に愛されています
あの週末を全てなかったことにすればいい。それか、私の妄想だったと……。

カップの中の紅茶をじっと見つめたまま考え込んでいると、「おはよう」と真木さんににこやかに声をかけられた。

「おはようございます」

咄嗟に笑顔を作って挨拶する。

「その後、風邪の具合はどう?」

真木さんはデスクに英字新聞をポンっと置くと、パソコンを立ち上げながら私の体調を尋ねた。

「真木さんにご馳走して頂いた豆腐懐石が良かったのか、だいぶ良くなりました」

私は真木さんに心から礼を言った。

実際、会社の外に連れ出してくれていい気分転換になった。

「それは良かった。今日は休みの会社も多いと思うし、スローペースでいいよ。こまめに休んで。俺もね、相田さんが苦労するのわかっててここに来てもらったから、それなりに気にしてはいたんだよね。でも、高橋が保護者みたいな目で心配そうに相田さん見てたから、あいつに任せて傍観してた」
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