極上な御曹司にとろ甘に愛されています
8、愛おしいもの ー 恭介side
片肘をつきながら萌の寝顔を見守る。

染みひとつない綺麗な肌だが、今の彼女の身体には俺がつけたキスマークが至るところにある。

疲れきった顔。

今お昼の十二時過ぎだが、まだ萌が起きる様子はない。

まあ、疲れるのは当然だろう。

萌だって病み上がりだったのに、彼女を抱いてしまったのだから。

萌が俺のマンションの前に立っているのを見た時から、彼女を帰すつもりはなかった。

あの時、どんなに嬉しかったか……。

会社で定時前に厄介な呼び出しを受け一時間以上拘束された俺は、風邪で身体が弱っていてかなり限界に近かった。

いつ倒れてもおかしくない状態。

歩くのもやっとだったが、萌を見つけて思わず抱き寄せた。

誰もいない家に帰ると思っていた俺には、すごく嬉しいサプライズで……。

でも、萌は食事を作ると帰るつもりでいた。

帰せるわけがない。

絶対に引き留める……それしかあの時頭になかった。
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