極上な御曹司にとろ甘に愛されています
それにしても、マスターを呼び捨てにするなんて、かなり親しいのかな?

そんなことを考えていると、マスターがやって来て私のテーブルにコトンと音を立てカシスのムースを置いた。

「え?」

訳がわからずマスターとおじいさんの顔を交互に見ると、おじいさんは口を開いた。

「ささやかなお礼だよ」

パチッとウィンクするおじいさん。

そのお年で表情筋を自由に操れるって凄い。

背も高そうだし、若い頃はさぞ女の子にモテただろう。

「いいんですか?ありがとうございます!」

おじいさんに笑顔でお礼を言うと、手を合わせて有り難くムースを味わった。

美味しくて満面の笑みを浮かべる私を見ておじさんも満足そうに頬を緩める。

もう一度おじいさんにお礼を言うと、私は席を立って店を後にした。
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