極上な御曹司にとろ甘に愛されています

どうやって断ろう。

今日は先約があってとか？

実家に帰るとか？

田中君の視線を避けつつ考えていると、机の上にコトンと見覚えのある鍵が置かれた。

それは恭介のマンションの鍵で……。

え？

鍵を凝視していると、耳元で恭介の声が響く。

「萌、うちで待ってて」

ハッとして恭介の方を振り向けば、彼は私の目を見てニヤリとする。

あ～、絶対わざとだ。

いつもならふたりになった時にこっそり渡してくれるのに……なんで田中君がいるこのタイミングで渡すの？

しかも下の名前で呼ぶなんて～！

私が呆気に取られている間に、恭介はまた打合せがあるのか真木さんと一緒にオフィスを出ていく。