極上な御曹司にとろ甘に愛されています
「そこは同感です」

私が力強く頷くと、横にいる恭介がしれっとした顔で言った。

「声を潜めても横にいれば聞こえるんですけど。それにふたりで変な共同戦線張らないで下さいよ」

このクールな顔。絶対動揺なんかしない人種だよ。

結局、その後恭介を追及する機会はなく、彼は定時を過ぎると真木さんと共にタクシーで接待に行ってしまった。

しばらくすると私のスマホに恭介からラインが入る。

【帰るの深夜になるかもしれないから先に寝てていいよ】

……田中君にバラしたことについてはやはり何のコメントもない。

怒りで返事を返す気になれず、スマホを机の隅に置く。

十八時過ぎに仕事を終えると恭介のマンションに行き、リビングでテレビを観ながらじっと彼を待った。

すると、テーブルの上に置いておいたスマホが鳴る。

手に取って画面を見れば卓からの着信だった。

スマホを操作して電話に出る。

『俺だけど、今大丈夫?』
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