極上な御曹司にとろ甘に愛されています
“待っている”……その言葉を聞いて嬉しくなる。

日本を経つ日、無理矢理萌にうちの鍵を持たせたのだ。

帰ってきた時にうちにいてくれると助かると言って。

出来ればこのままずっと鍵を持っていてうちに住んで欲しいが、萌のあの真面目な性格からいくと簡単ではないだろう。

日曜の夜に泊まらせるのもかなり苦労したのだ。

「ああ、楽しみにしてる。また後で」

ちょうどタクシーが来て、俺は通話を終わらせた。

スーツケースをタクシーの運転手に預けると、タクシーに乗り込む。

車の中は冷房が効いていて、ホッとひと息つきながら俺はシートに身体を預けた。

運転手に行き先を告げると、俺は今回の出張を振り返る。

出張自体はいつもと変わらなかったが、うちのロンドン支社の支社長からある話を聞いてからというもの頭が痛い。

ある話……それは俺のロンドン赴任の話。

二日前、ロンドン支社の連中と夜飲みに行くと、俺の隣が支社長で最初は仕事の話をしていたが、そのうち彼の家族の話になった。



『うちのワイフは美人でね、しかも料理が上手いんだ』
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