極上な御曹司にとろ甘に愛されています
『恭介は赴任前にその彼女と結婚するのかね?』

赴任?

俺は支社長の台詞に眉根を寄せた。それは初耳で……。

『赴任って俺の話ですか?』

『ああ。来年の四月に。恭介と一緒に仕事出来るのが楽しみだよ』

酒が入って饒舌になった支社長。聞けば何でも話す。

『その話ってもう決定事項なんですね?』

俺は支社長の顔を見据えた。

『ああ。先日本社の社長が見えた時にそう言ってたよ。何でも会長が決めたらしい』

『なるほど』

俺は軽く相槌を打つと、萌の写真をじっと見た。

会長と社長が言っていたのならもう決まりだろう。

海外赴任の話は近いうちに来るとは予想していたが、まだ一年先だと思っていた。

それを日本で聞かずにイギリスで知ることになるとはな。

だが……来年の四月だなんてタイミングが悪すぎる。

道理で最近周りから縁談を勧められると思った。

海外赴任となれば三年は日本に戻れない。
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