極上な御曹司にとろ甘に愛されています
逆の立場ならグーで殴ってさよならする。

萌にだって仕事がある。

愛想つかされて彼女に逃げられるのが落ちだ。

まだそんな時ではない。機が熟していない。

だが……今は八月の終わり。

仕事を辞めて俺について来てもらうなら、今年中には萌に伝えなければいけない。

彼女の心の準備もあるだろう?

それに、萌のご両親にだってきちんと挨拶する必要がある。

どうする?

時間があまりない。

『……頭痛がする』

俺は額に手を当てながらポツリと呟いた。

『はは、恭介は酒が弱いのか?こっちに来たら俺が鍛えてやるから心配するな』

バシバシ俺の背中を叩きながら、支社長は見当違いな言葉を口にする。

ガタイが良すぎるから、叩いてくる力も半端なく痛い。

『結構ですよ。飲み過ぎて会社の秘密を人にばらすのはマズイですから』
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