極上な御曹司にとろ甘に愛されています
そう毒を吐くと、俺はスーツの内ポケットから何枚かお札を取り出してテーブルの上に置き席を立つ。

支社長は呆気に取られた顔をしていた。



タクシーは首都高を走り抜ける。

俺はズボンのポケットからスマホを取り出すと、ある人物に電話をかけた。

ツーコールで電話の相手が出る。

『はい』

耳に届く低い声。

その声の主は、俺の祖父で水無瀬製薬の会長、水無瀬源一郎。

名字が違うのは、母方の祖父だからだ。

じいさんは学生時代イギリスに留学した経験もあり、イギリスかぶれで、お洒落には気を遣っている。

俺が日本に戻ってきて水無瀬製薬に入ったのは、じいさんの跡を継ぐためだ。

現社長は俺の伯父だが、残念なことに経営の才はなかったらしい。
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