極上な御曹司にとろ甘に愛されています
そこで、じいさんが白羽の矢を立てたのが俺だった。

アメリカの大学を二年スキップしてMBAを取ったことが彼の目に留まったのだろう。

じいさんに何度も説得され、一般社員と同じ扱いでいいなら入ると俺は条件をつけた。特別扱いされるのが嫌だったし、自分の力を試してみたかったのだ。

俺が会長の孫と知っているのも、一部の人間だけ。

真木さんも幼馴染みということもあり、俺の素性は知っている。

「恭介です。今日本に戻りました」

まずはいつも通りにじいさんに報告する。

『それはご苦労だった。どうだった、向こうの様子は?』

「まあ割りといい人材が集まってるので上手くいってますよ」

俺は当たり障りのない言葉を口にする。

『それなら良かった』

「ところで、俺が来年の四月からイギリスに赴任するという噂を耳にしたのですが、本当ですか?」

俺は本題を切り出す。

『ロンドンにはおしゃべりがいるようだな』

面白がるようなその声音。

はっきりとは肯定しないが認めた。
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