極上な御曹司にとろ甘に愛されています
「必要性ないから常備してないんだよ。萌姉いるし。でも、そろそろ買わないとマズイかな」

私の横に腰を下ろすと卓はクスッと笑みを溢す。

「彼女出来たら買わないだろうけどね」

心がすさんでいる私は冷ややかに返した。だが、卓はそんな私の嫌みを笑顔で跳ね返す。
「それは言えてるかも。で、その編み物って恭介さんに編んでるの?」

卓はテーブルの上に置いた編み物に目を向ける。

「内緒だからね。絶対に言わないでよ!」

私は唇の前にシーっと指を立て、卓に念を押した。

「わかってるよ。でも、萌姉編み物しなかったよな?」

この意外そうな顔。

雨でも降るんじゃないのと心の中で思っていそうだ。

まあ、私も二十五になって編み物やるとは思わなかった。

まずは本屋で初心者向けの教本を探して、手芸屋さんで簡単に作れる編み棒選んでもらって……。

「本見て必死で頑張ってるの。恭介のクリスマスプレゼント思い浮かばなくて……。だって、時計とかネクタイとか彼……たくさん持ってるんだよね」
< 251 / 318 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop