極上な御曹司にとろ甘に愛されています
「だったらさあ、会社辞めてでも恭介さんについてイギリスに行けばいいじゃないか。貯金だって少しはあるだろ?恭介さん以外のことは後で考えればいい」

……こういう考え方、我が弟ながら尊敬してしまう。

どこまでも一直線で、くよくよ悩まない。

でも、卓のお陰でだいぶ心が軽くなった。

美奈ちゃんの結婚式が終わったら、怖がらずに恭介とちゃんと話をしよう。

「……卓、ありがとね。気分が楽になった。卓っていつの間にかちゃんと大人になってたんだね」

涙を拭いながら卓に向かってしみじみそう言えば、弟は苦笑した。

「すでに成人して数年経ってるんだけど……。まあ、何か悩みがあれば俺よりも恭介さんに相談した方がいいんじゃない?恭介さんなら全部受け止めてくれるよ」

「うん、ありがとう」

「じゃあ、俺はバイトあるから行くけど、ちゃんと恭介さんと話しろよ」

卓は立ち上がると、コートを羽織り私のアパートを後にする。

弟が来てくれて良かった。
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