極上な御曹司にとろ甘に愛されています
それから数時間編み物に専念すると、マフラーはようやく完成した。

じっとマフラーを眺めると、用意していた袋に入れて綺麗にラッピングする。

チラリと壁時計に目をやれば午後三時過ぎ。

そろそろ着替えないと……。

クローゼットからピンクのワンピースを取り出して着替え、恭介と会ってからずっと伸ばしてきた髪を鏡を見ながらアップにする。

美奈ちゃんの招待状を持って都内の有名ホテルに向かえば、ホテルのロビーで総務部の部長に出くわした。

「やあ、相田さん、ピンクのドレス似合ってるね」

「ありがとうございます。でも、今日は私よりも近藤さんを褒めてあげて下さいね。部長はスピーチもされるんですよね、大丈夫ですか?」

ひとりで会場に入るのは少し不安だったが、部長の顔を見て安堵する。

「昨日慌てて考えたよ。何ならここで披露しようか?」

部長がニンマリ笑って乗り気だったので、私は慌てて止めた。

「いえ、本番まで取っておいて下さい。楽しみにしてます」
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