極上な御曹司にとろ甘に愛されています
ホテルのロビーまで行くと、背後からよく知った声が聞こえて来てハッとして立ち止まった。

それは間違いなく恭介の声で、女性と和やかに話している。

……気のせいだよね?

私の聞き間違いであることを祈りながら、恐る恐る後ろを振り返る。

でも、そこにいたのはやっぱり恭介で……。

嘘……。

今日はおじいさんに会うって言ってたはず……。

どうして?

頭が酷く混乱して呆然と恭介と彼の横にいる綺麗な女性を見つめる。

身体から力が抜けて持っていた紙袋を床に落とすと、その音に反応した恭介と目が合った。

彼が他の女性と一緒にいるとこなんて見たくなかった。

逃げなきゃ。

一刻も早くここから去りたい。

もうそれしか頭になかった。

踵を返し、ドアマンのいるドアの方へ走る。

「萌、待って!」

恭介が私に向かって叫んだが無視した。
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