極上な御曹司にとろ甘に愛されています
ヒールの高い靴で足が痛いけど、立ち止まる訳にはいかない。

ただ必死でひたすら走るが、恭介も追いかけて来て私を呼び止める。

「萌、危ない!」

恭介の声と共にガタンという大きな音が響き、後ろから彼にタックルされるように抱き抱えながら床に転がると、ガシャンという衝撃音がした。

「痛い……」

床に転がった衝撃で身体が痛い。

何が起こったの?

顔をしかめながら目を開ければ、私達の周りに人が集まってきて……。

恭介の腕をすり抜けて上体を起こすと、彼の額から血が流れていた。

血……。

恭介の血を見て血の気が一気に引いたが、ここで気を失うわけにはいかない。

「恭介?」

慌てて起き上がり恭介に声をかけるが、彼は反応せずに横たわったまま動かない。

何で動かないの?

気が変になりそうだった。

私達のすぐ横には『Merry Christmas!』と書かれた大きなプレートの残骸があった。

どうやらこのプレートが天井から落ちてきて私をかばった恭介に直撃したらしい。

「恭介!恭介、目を開けて!」
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