極上な御曹司にとろ甘に愛されています
「……脈はあるようです」

総務部長の言葉におじいさんは頷く。

総務部長もこのおじいさんのことを知っているようだ。

「そうか。お嬢さん、落ち着きなさい。この程度のことで恭介は死なんよ」

おしいさんが私に優しく声をかける。

『恭介』って……呼んだ。

この人……ひょっとしてうちの会長なの?

だが、今はそれよりも恭介の怪我の具合が気になる。

脈があると聞いてホッとするも、恭介の意識が戻るのか不安で気が気じゃなかった。

……私のせいだ。

私をかばわなければこんなことにならなかったのに……。

お願い……死なないで!

「恭介……」

恭介の温かい手を握りながら、私は救急車の到着を今か今かと待った。
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