極上な御曹司にとろ甘に愛されています
だが、今気になるのはそんなことじゃない。

萌の言葉に胸を打たれた。

こんな慈愛に満ちたプロポーズがあるだろうか?

俺が目が覚めなくても面倒みるなんて……普通なかなか言えない。

俺が萌にプロポーズするはずだったんだけどな。

彼女には負ける。

でも、悔しいって気持ちはなくて、ポカポカと温かいものが心から溢れてくるような……そんな不思議な感覚がした。

「恭介が欲しければ、そこで狸寝入りしている本人に聞けばいい」

じいさんが萌を見て頬を緩めると、彼女が「え?」っと声をもらして俺の方に目を向けた。

ゆっくり上体を起こして萌に微笑むと、彼女は目に涙を浮かべながらベッドに駆け寄って俺に抱きつく。

「……良かった。本当に良かった」

萌が安堵した様子で言う。

俺のことが心配で気が気じゃなかったのだろう。

「心配かけてごめん。でも、萌に怪我がなくて良かった」

俺は萌の頭をそっと撫でると、ホッとしたのか彼女は不安だった思いを口にした。
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