千年の眠りから覚めれば
相変わらずグースカ寝ている那雪の布団の上で
もそもそと白いものが動いた。
「那雪〜〜朝だよ〜」
人の言葉を余裕で話す白いもの……
もとい白狐の白─ハク─だ。
沢山われた尻尾はもさもさと那雪の顔をくすぐった。
がすぐに、寝返りをうった那雪にぺいっと布団から落とされる。
白は勢い余って思い切り顔を地面に叩きつけられた。
もっとも、小さな体なので、もふっと転がっただけだったが。
にぶい動きで、ゆっくりと白は顔を上げた。
「………なぁ〜ゆ〜〜きぃ〜〜ーーーーーーーー!!!」
そう白が叫ぶと、ぽんっという音ともに
煙が白の小さな体を巻き、包み隠される。
ちょっとしてから煙が晴れると、
そこには、痩せ型でふわふわとした
長め前髪の白髪の男が立っていた。
あどけなさが残りつつも整った顔立ちで
どこか不思議さを醸し出す金色の目を
髪と同じ真っ白な長いまつげが縁取っている。
その優美な目をゆっくりと細めると、
「……そろそろ那雪には荒療治しないとね」