お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~
マンションに戻り、先生は手慣れた手つきでパスタを茹でた。そしてあらかじめ切っておいたトマトを使って、パスタのソースを作り出した。

「すごい本格的!食べるのが楽しみになってきた。ガーリックのいい匂い。」
「料理は好きなんだけど、一人分作るのって面倒だし、味気ないけど今日は二人分だし久しぶりに気合い入るよ」

そう言い、茹で上がったパスタに作ったソースを絡めていく。フライパンを振る手つきも様になっている。

私の催促に「ん?もうすぐ出来るから待ってよ。味見?いいよ、え?そっちの?仕方ないな」

先生は私の体に方を振り返り、味見のキスをおねだりする。

「こら、そっちの味見は後からでしょ?」ふざけて、先生のズボンのベルトに手をかけたのだ。
「はーい」

私も買ってきたパンを盛り付けたり、先生が味付けしたビーンサラダをお皿に入れて、テーブルに並べていく。私の好きなスパークリングワインも用意した。

とても美味しそうな匂いがして、お腹が鳴りそうだった。ここ秘密の部屋で【2人だけのイタリアンレストラン】が開店した。

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