お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~
「とても綺麗。ありがとう」4℃の指輪を先生は、はめてくれる。
「クリスマスに渡せてよかったよ。何も演出出来なくてごめんね」25日の夜、22時をまわって、私のアパートに車を走らせて来た先生。

「いいの。先生が来てくれたから。先生がプレゼントだよ」

「気持ちだけだけど、飾ったよ、ツリー」紙粘土で作った壁掛けの小さなツリー。

クリスマスリースや、松ぼっくりをドアに飾ると、ルミナリエのようなクリスマスのイルミネーションにはかなわないけれど、少しでもクリスマス気分を味わえる。

「もうじきこのリースも、正月のお飾りに変わっていくんだよね」
「渋いね、まさかしめ縄とか飾るわけ?ドアに」
「まさか。でも鏡餅は飾ろうかな。干し柿載せて可愛いじゃない」
「可愛い?君の感性がわからないな」そう言い先生は笑った。

「雪が降ればよかったな。ホワイトクリスマスで記念に残ったのにな。そうだ、南半球のオーストラリアでは真夏なんだよね」
「うん、サンタクロースがトナカイじゃなくてサーフィンしながらやって来るとかって」
「何それ。南国でもホワイトクリスマスってあるのかな?雪が降らないから無理かな?」
「あるよ、インドとか中東とか。南国の雪。知ってる?」
「え?」
< 118 / 184 >

この作品をシェア

pagetop