お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~
【先生ったら、この横並びの二人がけのソファーのお店女の子に気軽にボディータッチ出来るからいいんだって、自らバラしてどうするんだろう?】

それなのに。

酔いがまわって饒舌になった私と先生の会話は弾んで、最後のデザートのジェラートを食べ終え、店を出たというのに。

【この横並びの席だと女の子に気軽にボディータッチ出来るって言いながら、私にはボディータッチ、全くしてこなかった】

料理は最高に美味しかった。ご馳走さまでした、と言いつつボディータッチがなかった事で少し釈然としない私の表情から読み取ったのか先生は、
「まだ早いからよかったらハーバーランドに行く?」

1つ返事して、先生の背中を見ながら少し後ろを歩いた。誘ったくせに、期待を持たせるような事を口にするのに、何だか気持ちを見透かされて、寸前でかわされている。

言いように振り回されて、ほろ酔い気分の私は何故だか無償に腹がたってきた。


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