お口にクダサイ～記憶の中のフレグランス～

その夜、旅館でお酒と食事を堪能し、先生がプレゼントだよ、と旅館でやっていたアロマエステを頼んでくれていて、心身ともにリフレッシュ出来た。

その夜、先生は「とてもいい匂いがするね」と言ってくれた。

「ラベンダーの香りだよ。アロマエステのオイルの匂いなの」

「何だか畳で、お布団ってのが新鮮。浴衣ってのもいいね」お布団の中、先生に抱きつく。
「いつもと違うボディーソープの匂いだ」

先生は笑って
「ここの備え付けのやつ使ったからね」ほとんど荷物らしきものを持たずにやって来た先生。

「眠い？先生」
「うーん。酒を飲みすぎたみたいだ。あまり焼酎とか日本酒は呑まないけどついね」

「今日は（セックス）出来ないの？」
「ごめんね、この所疲れてるみたいで」

「いいよ、仕方ないもんね」
会えばほとんど愛し合っていたのに、疲れているからと、ここの所最後までしなくなっていた。

私は先生に背中をむけて、布団を頭から被った。お酒のせいかもしれないが、涙が止まらなかった。