お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~
「おいおい、背中向けたら怒るのに、君は僕に背中を向けちゃうわけ?寂しいな」後ろから抱き締められた。

「泣いているの?ごめん。君の事を想っているからね、想っているから機嫌を直して、想っているから・・・」

自分に言い聞かせるように、君を想っているから、を繰り返した先生。

「私を想ってくれているなら、お口に頂戴」

「・・・」先生は何も言わずになすがままだった。泣きながら先生をくわえこみ、一生懸命舌を唇を動かす。

何の意味があるのだろう?一滴も残らず飲み干して、子宮では実らないそれを口で受け止める事が・・・。

先生が短く声を漏らしたと同時に、口の中に白い体液が広がった。すぐには飲み込まずに、それを惜しむかのように口の中で溜めて、一気に喉元へと降りていった。

「ごめんな、ごめん」そう言い、先生は私を抱き締めた。

「謝らないで、お願い」2人してきつく抱き合った。そしてそのまま朝を迎えた。
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