お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~
夏になり、秘密のタワーマンションの部屋で、また喧嘩になった。喧嘩になったというより、一方的に私が怒っていただけなのだけれど。
言い合いから、私は置いてあったものを先生に投げつける。
「こら、やめるんだ」子供を諭すようにそう言う先生に、
「子供扱いしないで。こんな私なんか捨ててよ、早く。奥さんの元に戻ったらいいじゃない。どうして・・・」
泣きながら、近くに置いてあったハサミを投げつけた。先生は避けたものの、頬をかすめて、切り傷が少し出来てしまった。先生の頬にかすかに血がにじむ。
「ごめんなさい」
「いいんだよ。僕の方こそ不安にさせてごめん・・・相手に出来てないし、それで君はこういう態度になるのに、どうしていいかわからなくなってるんだ。厄介なんて思っていないからね」
先生に抱き締められ、声をあげて泣いた。
「そうだ。久しぶりにデートしよう。僕が生まれた京都の街並みを歩こう。ね?」
私は頷くのがやっとだった。この夜は何もお互いが話すことなく、何度も何度も唇を、そして体を重ねることだけしか出来なかった。
言い合いから、私は置いてあったものを先生に投げつける。
「こら、やめるんだ」子供を諭すようにそう言う先生に、
「子供扱いしないで。こんな私なんか捨ててよ、早く。奥さんの元に戻ったらいいじゃない。どうして・・・」
泣きながら、近くに置いてあったハサミを投げつけた。先生は避けたものの、頬をかすめて、切り傷が少し出来てしまった。先生の頬にかすかに血がにじむ。
「ごめんなさい」
「いいんだよ。僕の方こそ不安にさせてごめん・・・相手に出来てないし、それで君はこういう態度になるのに、どうしていいかわからなくなってるんだ。厄介なんて思っていないからね」
先生に抱き締められ、声をあげて泣いた。
「そうだ。久しぶりにデートしよう。僕が生まれた京都の街並みを歩こう。ね?」
私は頷くのがやっとだった。この夜は何もお互いが話すことなく、何度も何度も唇を、そして体を重ねることだけしか出来なかった。