お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~
8月も後半に差し掛かり、それでも夏休みとあってか、人が多かった。京都のうだるような暑さがこたえた。
嵐山から嵯峨野まで、トロッコに乗りたいという私に、普段は人混みが苦手だという先生と乗った。
「秋になると綺麗かな?紅葉とか人がその時も多いと思うけど」
「きれいだと思うよ。また秋に来る?」
「・・・うん」そう言うと、先生は穏やかな表情を見せて、私の頭を撫でてくれる。
「今日はありがとうね」私は先生の肩にもたれかかりながらも、ゆっくりと流れる外の景色を見ていた。
大勢の観光客で賑わう観光地。行き交うカップルたちがどんな関係かなんて、誰も微塵も思わないだろう。
貧乳地味子は束の間の夢を見ていたのかもしれない。普通に出逢っていたなら、先生は私を愛しはしなかっただろう。
先生は、私には不釣り合いな高嶺の花の王子さまだった。
シンデレラになっていた私の魔法がとけつつあった。
繋いでいた手を何度も握りなおして、その感触を忘れないでいようとする自分がいた。
先生も、指で私の手の甲をずっと撫でていた。
私はぼんやりと昔やっていたドラマ、高校教師を思い出していた。
嵐山から嵯峨野まで、トロッコに乗りたいという私に、普段は人混みが苦手だという先生と乗った。
「秋になると綺麗かな?紅葉とか人がその時も多いと思うけど」
「きれいだと思うよ。また秋に来る?」
「・・・うん」そう言うと、先生は穏やかな表情を見せて、私の頭を撫でてくれる。
「今日はありがとうね」私は先生の肩にもたれかかりながらも、ゆっくりと流れる外の景色を見ていた。
大勢の観光客で賑わう観光地。行き交うカップルたちがどんな関係かなんて、誰も微塵も思わないだろう。
貧乳地味子は束の間の夢を見ていたのかもしれない。普通に出逢っていたなら、先生は私を愛しはしなかっただろう。
先生は、私には不釣り合いな高嶺の花の王子さまだった。
シンデレラになっていた私の魔法がとけつつあった。
繋いでいた手を何度も握りなおして、その感触を忘れないでいようとする自分がいた。
先生も、指で私の手の甲をずっと撫でていた。
私はぼんやりと昔やっていたドラマ、高校教師を思い出していた。