お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~
別れは夢かうつつかわからなかった。ぼんやりとして、実感がその時はわかなかった。
それから数日間は、がむしゃらに仕事をして、部屋に引きこもり借りてきたDVDを観て過ごした。海外ドラマの「デスパレートな妻たち」を続きで借りていて、ぼんやりしていたせいだろうか。
一度観たやつを、また借りてきていた事に気がついた。
先生は自分はずるい男だと言った。そうかもしれないけれど、私にとっては高嶺の王子様だった。
恋い焦がれても想いが通じるはずもなかったのに、一瞬だったかもしれないけれど、お姫様にさせてくれた。
私はどんなにひどいフラれ方をしても、無駄な出逢いは1つもなかったと思っている。それを否定してしまえば、幸せだったと思える時間も嘘になるから・・・。
私は30歳の誕生日を目前に、1人になってしまった。