お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~
30歳、恋に迷走する私

私、恋に臆病になる

先生と別れたのち、私が落ち込んでいるのを間近で見ていた心咲が、何かあったのだろうと思ってくれたらしい。先生の事は、心咲に話せずにいた。

「私、仲のいい公務員の男の子いるんだけど、コンパする?みんな詠美より年上で独身だよ」

「ありがとう。うん、行ってみる」

私と心咲、そしてうちの病院にアルバイトで来ている若い看護師の女の子とその友人と市役所勤務の4人の男性とで合コンをした。

心咲の友達の男の子で幹事をしてくれた男の子、卓巳(たくみ)くん。モテそうな男の子だな、というのが第一印象だった。結婚願望はないらしく、23歳の彼女がいると言っていた。

あとの3人は彼女がいないと言っていた。1人は高齢の母親と親一人子一人で結婚願望はあるものの、自分の置かれている状況から結婚を諦めていた。

モテなさそうな男の子ではなく、普通の男の子だった。心咲はシングルマザーであり、彼氏はほしいけど結婚はしたくないと言っていた。心咲はこの男の子と仲良くなり、後に別れたけれど、少しお付き合いをしていた。

隣の5歳年上の男の子と話したものの、シャイな感じで、その場で話して終わりっぽい感じだった。名前は、順一と言った。お開きになり、最後に皆で連絡先を交換した。

「いい人いた?」
心咲にこう聞かれ、
「うーん、特に」と答え2人で帰っていた時の事。
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