お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~
「今日はほとんど傍にいれなかったから、何か買ってあげる」
「東京バナナとか?」
「そんなのでいいの?あ、そうだ、服なんかどう?ちょっとしたパーティとかいけるよ」
「パーティなんか行く機会ないし」
「じゃあ、また部屋で2人で踊りますか?シンデレラ」
「うん。うまくリードしてよね」

黒のワンピースを探していた。東京のお店はよくわからないので、とりあえず百貨店に入った。
「あ!可愛い。シフォンのフリルとリボンが素敵」
「似合うんじゃない?着てみたら?」
目についたワンピースは、ジル・スチュワートのやつだった。

ジル・スチュワートは初だった。アプワイザー・リッシェ、プロポーションボディードレッシング、がヘビーローテーションだった。

「おかしくないかな?」
試着室から顔を覗かせた私に、どれどれ?と近づいてくる先生。

「うん。似合ってるよ。黒だから甘すぎないからこれからも着れそうだよ。」値段も見ずに店員にこれ下さいと言う先生。

「3万超えてるよ?いいの?」
「たまにだからいいよ。その代わり他の男の前で着ちゃだめだよ」先生はそう言い、カードを取り出した。
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