お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~
直哉は、私がフラレた前彼の順一くんが出不精だったのと正反対だった。何より惹かれたのは、とても子供好きだと言うことだった。

私の親友の心咲の子供がすごくなついているのは勿論のこと、前の打ち上げでは子供連れの家族が多かったけれど、子供皆に好かれていた。

子供たちは直哉に遊んでもらおうと、直哉のまわりに人だかりが出来て笑いが絶えなかった。

子供好きなんだね、と言うと

「年の離れた姉の子供、甥っ子や姪っ子の面倒を見ていたからかな?」

一度はスーツ姿だというのに、子供たちに一緒にやろうと言われ、サッカーをやってスーツを泥だらけにしていた。私はそれを微笑ましく見ていた。

漠然と直哉の事を良いな、と思い始めていた頃、彼に付き合ってほしいと言われた。

直哉の事は好きだけど、年齢的に私は結婚したいと言うと、

もちろん結婚を視野に入れているよ、と言ってくれた。不安になることもなく、彼の腕の中に飛び込んだ。
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