お口にクダサイ～記憶の中のフレグランス～

つわりが酷く、退職を余儀なくされた私。出産も難産になり、微弱陣痛が続き、なかなか子供が降りてこない。

そこの産院は、個人病院で出来る限り自然なお産をと言う事で、特に赤ちゃんや母体に影響のない限り、陣痛促進剤は使用しないという病院だった。

3日後に、長男が誕生した。後でわかった事なのだが、へその緒が途中から胎児に巻き付いて、降りてこれなかったと言うのだ。

2人目は、総合病院での出産になった。
36歳になっていたので、高齢出産ということになる。相変わらず微弱陣痛だったが、陣痛促進剤を入れた途端に子宮口が全快になり、陣痛室で破水してしまう。

慌てて分娩室へ運ばれた。直哉もどうにか間に合った。2人目は陣痛促進剤を使ったけれど、スピード安産になった。

私は男の子2人に恵まれた。子供が欲しいと思ってすぐに出来たので、幸運だった。

子育てに終われる日々。はじめて母親に感謝した。直哉は育児にすごく協力的だった。夜泣きで寝ないと、子供をおんぶ紐で外を散歩したり、車で走って寝かしつけてくれた。

子供たちは現在、小学生と幼稚園児で腕白盛りで、お父さん（直哉）が大好きだ。仕事から帰ってくるのを毎日楽しみに待っている。

仕事で疲れているけれど、子供たちに遊ぼうと言われて、仮面ライダーごっこやら、戦いのごっこ遊びに付き合い、家の中を子供たちと一緒になって走り回っている。子煩悩なのは昔と全然変わっていない。

ささやかな幸せの中、ある時、忘れていた想い出が甦ってきた。