お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~
挑発的な香り
私こと松嶋詠美は、中途採用で24歳の時に事務員として働きはじめた。長期療養を目的とする病院だったので、急患もなく、小さな病院だったの事もあり、ナースステーションの事務や医療事務、受付事務もこなすまさに「何でも屋」だった。
28歳になる年だった。昨年、長年付き合った彼とは長い春となり、先の見えないマンネリな恋に自ら終止符をうった。そして5歳年下の彼と付き合い始めるも、私の年齢が重荷になったのか、若い女の子に乗り換えられてあっさりとフラレてしまった。
「可愛いのにさ、どこか残念なんだよなー。惜しいと言うかさ。」昔、合コンに出たときに男の子の一人が私の印象についてそう言ったことがある。
「華がないんだよなー。細くて少年体型って言うのかさ。貧乳を自虐ネタにするようになったらオバチャンだよな。」
皆、酔いが回っていたのだろう。「詠美ちゃんは、貧乳地味子に決定!」誰かがそう言うと、皆がどっと笑った。私も笑うしかなかった。
ある時出先から戻ると、パーテーションで区切られた事務所のミーティングテーブルの上に空になった湯呑みが二つ残されていた。
28歳になる年だった。昨年、長年付き合った彼とは長い春となり、先の見えないマンネリな恋に自ら終止符をうった。そして5歳年下の彼と付き合い始めるも、私の年齢が重荷になったのか、若い女の子に乗り換えられてあっさりとフラレてしまった。
「可愛いのにさ、どこか残念なんだよなー。惜しいと言うかさ。」昔、合コンに出たときに男の子の一人が私の印象についてそう言ったことがある。
「華がないんだよなー。細くて少年体型って言うのかさ。貧乳を自虐ネタにするようになったらオバチャンだよな。」
皆、酔いが回っていたのだろう。「詠美ちゃんは、貧乳地味子に決定!」誰かがそう言うと、皆がどっと笑った。私も笑うしかなかった。
ある時出先から戻ると、パーテーションで区切られた事務所のミーティングテーブルの上に空になった湯呑みが二つ残されていた。