お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~
「すごい!向こうに海も見えるよ。夜景、綺麗・・・」
「気に入ってもらえてよかった」
目を輝かせて、色々と見て回る。ワンルームだけど広い。

デスクが置かれていて、その前にはソファーがあり、横に小さなサイドテーブル、ソファーの高さにあったテーブルがおかれていた。

家電も冷蔵庫、エアコンなど必要最低限のものがあった。ちょっとした食器も置かれていた。テレビはなかったけれど、年代物のレコードが置かれている。

「コーヒーでもいれるよ。インスタントだけど。そこに座って待ってて」

しばらくして、コーヒーの良い香りがしてきた。コーヒーを飲みながら話を続ける。

「ここに住んでみたいな。こんな素敵な所だと、私でもお姫様になれそう」

話を聞いていた先生は、「そうだ、お姫様と言えば」と思い出したかのように、私にこう言った。

「この秘密の部屋の合鍵を作ったんだ。その合鍵がある場所を探してね。そうしたら、僕の前だけでシンデレラになれるガラスの靴も手に入るよ。ただし、片方だけね。もう片方はこの問題がとけたら教えてあげる」

「もしかして、それがプレゼント?合鍵とガラスの靴?」

「そうだよ」
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