お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~
その手を握ると、私は先生の胸へと引き寄せられた。

大好きなポロスポーツの香りに抱かれるようにして、余韻を楽しむように先生の胸に顔を沈める。

私だけが知っている、先生の秘密の香り。私が好きだから、ずっとこの匂いを纏ってくれている。

2人の秘密が増えるたびに、私の幸せが増していく。

「ね、先生このままで聞いてね。先生の顔を見たら恥ずかしくて言えないから」そう言い、私は目を閉じた。

いいよ、そう耳元で囁いて抱き締めてくれる。

「今までこんなにお姫様扱いされた事ないから、どうリアクションしていいかわからない。照れちゃって茶化したりしちゃうの。大好きなのに。」

「わかってる。不器用だよね。顔を上げて見せて」

顔を上げると、先生の顔が近づく。

「お姫様は、今日は夜の12時を過ぎても大丈夫なのかな?朝まで大丈夫?」

先生がキスしてくれる寸前、私はあっ!と声をあげた。何?ダメなの?と言う先生に、

「替えのパンツ持ってきてない!お泊まりセット持ってきてないから泊まれない」

「・・・また、替えのパンツとか言う」先生は苦笑いをする。
「ま、そこが好きなんだよね」

「今度はお泊まりセット持参でおいで」そう言ってくれるのに。

キスより先が欲しくなっても、僕をその気にさせて、とさらに無理難題を出してきた先生。

またもやゲームが始まろうとしていた。

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