お口にクダサイ～記憶の中のフレグランス～

夜遅くに、先生からメールが入る。
「詠美ちゃんが部屋に来てくれてから、部屋に君の香りが残ってるような気がして、殺風景なあの部屋に行くのが楽しみになってきたよ。いよいよ明日の夜だね。楽しみにしてるよ、おやすみ」

毎日あの鍵のシンデレラの靴を見ているよ、前に電話で話していた先生。

先生は仕事が遅くなると、家に帰るのがおっくうになり、あの部屋で寝ていたのだ。あの部屋が特別なものにかわっていくのが嬉しかった。

先生の寝顔はどんなのだろう？お泊まりをすると、今まで見たことのない先生の、新しい発見があるかもしれない。

今度は忘れないようにと、私はお泊まりセットを鞄に詰め込んだ。