お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~
「会えなくても詠美ちゃんの事を思っているし、約束するよ。来月は忙しくてあまり会えないかもだけど、寂しくないように連絡はするからね」
「うん。・・・あのね」
「何?」
「アイシテル」
「・・・俺の目を見て言って」
「恥ずかしいけど、大好き。アイシテル」

先生はよく言えましたと、頭を撫でてくれる。キスを交わしたあと、私が先にシャワーを使い、先生がシャワーし終わるまで先生が用意してくれた、液晶テレビのニュースを見ていた。

「あーさっぱりした。風呂あがりは
ビールかな?」先生は濡れた髪をバスタオルで拭きながら、私が座っているソファーの所までやって来た。

【なんでそんな格好なのよ!?】

黒のボクサーパンツ一丁でビール缶片手に、ニュースを見てる。

先生は40歳という年齢にもかかわらず、引き締まった体をしていた。

「目のやり場に困るんだけど」
「そんな目で見てたわけ?やーらーしー」そう言い笑う先生にムカついて、背後からパンツを引っ張り、ウィスキーの氷を放りこんでやった。先生は驚いて声をあげる。

「冷たっ。何する・・・」
「キスより先はくれないくせに、挑発的な格好でウロウロしないでよ!」
「・・・あのさ、僕が冷たさにパンツを脱ぐとでも思った?でも、そんなとこ氷を入れたら、使いもんにならなくて、それこそキスより先は無理だよ?」

「・・・それは困る」
一応下着をはきかえて、先生はソファーに戻ってきた。

「今夜はこのまま眠ろう」

眠気がきた私は、先生の腕の中、すぐに寝入ってしまっていた。



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