お口にクダサイ~記憶の中のフレグランス~
私は目を閉じる。先生は私を見つめている。

頭の中が妄想で満たされていく。ドライブシネマでの濃厚な時間を思い出す。そして、その先はどんなのかしら?いけない妄想をしながら、薄目で先生の表情をうかがう。

熱を帯びた先生の視線は絡み付くように、私から離れない。その潤んだ目に、妄想は加速していく。

「先生も私とのキスを思い出してね」そう言いまた目を閉じる。先生も私に魅いったまま黙って頷く。私は自分の潤いを確認して、目を開けた。

「?何?もう終わり?僕とのキスを妄想してただけ?」
「違うわ。腕を貸して。触れたりしないから。伸ばした先生の腕を足で跨いでもいい?」
「?いいよ」

浴衣の裾が少し崩れたのも気にせずに、伸ばした先生の腕の上を跨ぐ。

先生の腕の高さはちょうど、私の内腿くらいの高さを保持してもらう。間違っても内腿とか体に触れないように留意する。

先生は、腕の位置を言われた高さに保持し、今から何がはじまるのか訝しげだったが、次の瞬間驚きの声をあげた。
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